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2006年10月号(29号)より

*これでいいのか!介護保険見直し
司会 杉山典子市議

これでいいのか!介護保険見直し


2000年度に始まった介護保険制度が今年4月に見直しされ、利用者はサービスカットなどの問題に直面しています。そこで、市民事業として介護福祉の現場で働いているネットワーク横浜のメンバーが、介護の現場から見た福祉の現状と課題について話し合いました。 (司会 杉山典子市議)

見直しでサービスの後退が ! !


司会:介護保険制度は、行政が決める措置から利用者が選択できる福祉へ、家族による介護からの社会化を柱に始まりました。5年経って制度が定着し、その実績や効果、課題が見えてきたと思いますがいかがですか?
中村:90歳代の一人暮らしの方が「本当にいい時代になった」と言ってます。確かに誰でも介護サービスを利用でき、介護が家族だけの負担でなくなったことは良かったのではないでしょうか。ただ、財源不足のために利用に制限がかかって非常に使いにくい状況になっています。利用者主権の理念が後退し、給付の不足にも影響しています。
藤井:今回の見直しでホームへルパーの生活支援に当てられる時間が減らされたんですね。そのため介護保険が使えないサービスの依頼が、私たちワーカーズ・コレクティブに増えています。

介護予防の対応はまだまだ問題が


司会:生活支援に最低限必要な時間なのに削られたのか、または、個人負担がやむを得ないプラスアルファの時間だったのかが、制度見直しを評価する鍵だと思いますが・・・。
中村:そもそも国にお金がないからお金を出し合って、たすけあいですよって介護保険がスタートしたわけですね。それが、財源がパンクしそうだと見直すのは、人間の尊厳をだいじにすることより、サービスを削る方向に動いています。
見直しの柱の一つが、予防介護の拠点として、「地域包括支援センターを整備する」とのことですが、介護予防に認定された人への対応ができていません。見直しから半年経ちましたが、めざすことと現実のギャップが目立ちますね。
関:私たちワーカーズ・コレクティブは、もともと「地域主体」で、生活支援が必要な利用者の立場でサービスを提供してきました。ですから「制度に人が合わせなければならない」介護保険には限界を感じてきました。今回の見直しで、ますますその実態が見えてきましたが、何とかしたいですね。
中村:今、「ケアマネ難民」なんていう事態も発生しています。要介護1でサービスをうけていたのに要支援2に認定が下がった人や4月以降認定された人は、予防型のケアプランを立ててくれるケアマネージャーが見つけられずにたいへん困っています。  
司会:でも、介護保険がここまできたのは企業の参入があったからで、地域主体だけではニーズに応えきれなかったのではないですか。そこで高齢化率が30%を超える今後、介護保険を軸に企業や地域・市民による「地域主体」のサービスをどうにつくっていくかが重要と思いますが、どう考えますか?
関:横浜でも介護保険開始時に比べて、利用者は約2倍、事業所も増えましたが、ガイドヘルパー事業などをみても委託料が下がると撤退してしまいますよ。
中村:確かに、福祉サービスは、市場価値だけではかるべきではないと思いますね。
司会:福祉がビジネス市場になってサービス量も増えた。繰り返しますが、財源不足のなか、地域主体のサービスの拡充こそが地域福祉を豊かにする鍵になる。そのために、自治体も市民も含めて、必要なことをやらなければならない時代に入っているという気がしますね。
中村:食事サービスでいえば、利用者は65歳から90歳、100歳の方もいる、ご飯の量もワンパターンでは無理です。ワーカーズ・コレクティブなどの市民事業なら、利用者の求めるものに近いものが提供できます。でも、経済効率が優先だとそれは難しくなる。実際に、市の委託事業の食事サービスをしていて、「日曜は休み」 「入り組んだ路地の奥に届けるのはダメと断る」例も見られます。
司会:全部法人に委託ではなく、日曜はボランティアという方法もあるのではないでしょうか。
藤井:「日曜は断る」ような企業などにだけ、税金が補助金、委託料として投入されるわけですか?
司会:もちろん、「市民を安く使おう」という発想ではだめですよね。すべての事業ではなく、お隣さん感覚でやれることもあるのではないでしょうか。

地域の資源を活かしたまちづくりを


藤井:フランスでは公団のような大きな建物には、何割かを地域のためのスペースとして使う決まりがあります。誰もが必要なサービスを受けられる制度として、介護保険を維持するためには、「地域包括支援センター」のような拠点づくりを柔軟にすすめることがだいじですね。たとえば空き家の利用、商店街の協力といった地域の資源を活かしてやることが必要なのではないでしょうか。
中村:ともかく今回の制度改正には、利用者側の視点が何にもないし、事業者の意見も入っていません。あくまで国の側からの見直しです。
司会:学校も含めたさまざまな施設の活用を、地域・市民の力で膨らませることがだいじですね。私たちネットワーク横浜は、こういった「地域主体」をどれだけ財源の配分や制度に反映させられるか。この課題に取り組むために、利用者や事業の現場と手を携えて、政策を提案していきたいと思います。ありがとうございました。