食の安全を脅かす米国産牛肉輸入再開
宇都宮あつ子(市議/戸塚区選出)
2003年、米国でBSE(牛海面状脳症)の感染牛が見つかり、日本政府は米国産牛肉の輸入を禁止したが、2005年12月「特定危険部位」の除去を条件に、輸入を再開した。しかし今年1月、わずか1ヶ月でBSEの危険部位である背骨混入が見つかって、再び輸入を停止していた。
今回、日本の農水省職員による米国の食肉関連施設35ヵ所の事前査察などを条件に合意し、7月下旬には米牛肉輸入が再開されようとしている。
しかし、政府が全国10ヶ所で行なった意見交換会では、米国のBSE対策の安全性に対する不安から、輸入再開に反対の意見が続出した。消費者の十分な理解が得えられない中で、アメリカの圧力に屈した形での輸入再開となった。
不安材料の一つは、現地の食肉工場の「特定危険部位の除去」を監督・指導する検査官らが、危険部位が食肉中に混入している恐れがあると警告していることである。また、輸入再開条件の「生後20ヵ月齢以下の牛」については、広大な牧場で放牧されて、大半の牛が誕生データを持たない中、軟骨の骨化と門歯の生え方で牛の月例を判断する生理学検査を行なうことなど不可能とされている。
BSEの発生原因とされる肉骨粉は、日本ではすでに製造も輸入も禁止されている。しかし、米国では、牛のプリオンが蓄積しているかもしれない肉骨粉を食べた豚や鶏の残渣を再び肉骨粉として牛に食べさせているため、いまだ牛への感染の危険がある。さらに、米国産牛肉の安全性はBSEの問題だけではない。成長促進のためのホルモン剤、抗生物質の多量投与などにより、少なからず人体に影響を与えていると考えられる。
消費者にとって選択の判断材料になるのが、原産地表示である。精肉は表示が義務付けられているが、加工品や惣菜、外食などには表示義務はなく、知らないうちに安全性に問題のある米国産牛肉を食べている可能性がある。政府は「食べるかどうかは消費者の判断」としているが、情報が限られている中では判断そのものが困難と言える。
ネットワーク横浜は、これまでも、食の安全確保に向けて、トレーサビリティー(追跡可能性)を念頭に置いた流通・加工システムや遺伝子組み換え作物の栽培規制などの提案に取り組んできた。こうしたことからも、今回の早急な輸入再開は、米国の意向を優先し消費者に対する食の安全を脅かすものであり、輸入再開には反対する。

