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グレーゾーン金利撤廃
…金融庁案では多重債務者は減らせません

よねもり裕子(ネットワーク横浜・政策部長/鶴見区)

2006.9.11
消費者金融の無担保ローン登録者は約1500万人、多重債務者200万人、自己破産申請数年間20万人、そして、年間自殺者は3万人といわれますが、自殺の直接的原因として消費者金融による苛酷な取立てが大きな社会問題になっています。

問題は、利息制限法の上限金利15〜20%と、出資法の上限金利29.2%との間に、20〜29.2%のグレーゾーンがあることです。この20%を超える特例金利は、法的には借り側に払う義務がない、任意で成立する金利ですが、この高率金利に苦しめられ、借金を返すためにさらに借りるという多重債務に陥る構造になっています。そして、この多重債務こそ、自殺や野宿生活者、いわゆるホームレスを生み出す大きな原因の一つでした。

こうした社会問題解決のために、グレーゾーン金利撤廃を目標に、臨時国会での法改正をめざし、金融庁で改正案の検討を行なってきました。その案が9月5日、金融庁から出され、6日、与党自民党の金融調査会などの合同部会に説明されました。この金融庁案が、あまりに貸し金業界側の利益に立っていたため、与党内で貸金業改革を中心になって進めてきた後藤田正純内閣府政務官が辞任する騒ぎになっています。

金融庁案では、原則グレーゾーン金利は撤廃ですが、一方、利息制限法の上限金利が、これまで10万円未満20%、100万円未満18%、100万円以上15%だったのが、50万円未満20%、500万円未満18%、500万円以上15%と引き上げられてしまいます。たとえば150万円借りた場合、これまでは15%だった上限金利が改正案では18%と、利息が3%増えることになります。

さらに、小額短期の特例については、特例金利は28%とし、今後9年間は特例金利が残ることになります。特例に対しては、すでに8月23日に日弁連が反対を表明しています。また、金融庁の有識者懇談会でも特例不要とする意見が多かったにもかかわらず、金融庁は案に盛り込みました。貸し金業界寄りの金融庁案で、本当に多重債務者を減らせるのか疑問です。

これは、今回の改革でグレーゾーン金利が撤廃されることに危機感をもった業界が、与党の国会議員を動かしたといわれています。また、アメリカからも、公式・非公式に、金利引下げに反対の意向を伝えてきていたそうです。業界とアメリカにいい顔をした金融庁の「改正案」ですが、そのことを証明するかのように、7日の自民党合同部会では、金融庁案で廃止するはずだったグレーゾーン金利を撤廃せず、継続せよという、改革そのものを骨抜きにする意見も飛び出たと報道されています。

6月の第2回横浜市定例市会に法改正を求める国への意見書提出の請願がだされ、ネット横浜市会議員団は、女性・市民金融設立準備会の代表・向田映子さんからの学習をふまえ、グレーゾーン金利撤廃を主張しました。この間、多くの人が過酷な取り立てで自殺に追い込まれたり、ホームレスになったりしてします。制度が許してきた悲劇を生みだす構造を今こそ改善すべきで、業界の言いなりに骨抜きにする今の自民党の議論は許せません。